【獣医師解説】てんかん発作の原因・検査・治療法は?

「てんかん」は様々な原因により、脳神経細胞が無秩序に興奮する「発作」を繰り返す病気です。
てんかん発作には一部分だけの痙攣から、全身が痙攣を起こす大きな発作まで様々です。
ペットのてんかん発作に初めて直面した飼い主さんはその様子にとても驚かれどうしたらいいのか不安になられる方が大概でしょう。また、現在てんかんの治療中の飼い主さんはいつまた発作が起きるのか不安でいっぱいの方も多いと思います。

少しでも皆様の理解を深めていただけるように、今回はてんかん発作についてまとめてみました。

てんかんの原因は?

てんかんは大きく分けると特発性てんかんと症候性てんかんに分けることができます。

特発性てんかん・・・様々な検査を行っても特に原因が見つからないがてんかん発作を起こしてしまう病気です。

症候性てんかん・・・外傷や脳炎、脳腫瘍、水頭症、腎臓病、肝臓病などのてんかん発作を引き起こしてしまう病気が存在し、二次的にてんかん発作を引き起こします。

※症候性てんかんでは原因から治療まで多岐に渡りますので、今回は特発性てんかんをメインにまとめていきます。

てんかん発作の症状は?

てんかん発作の症状も大きく分けて2つ存在します。

部分発作・・・体の一部分だけが痙攣を起こします。例えば、顔面の痙攣や、前肢だけの痙攣、チック、尾追い行動、大量の涎が出るなどもこの部分発作の症状です。

全般発作・・・①突然意識を失い倒れ、全身がのけぞるようにピーンと伸びてつっぱります。②意識を失ったまま手足がけいれんし激しく屈伸を繰り返したり、犬かきをして泳ぐ運動が続いたりします。
①→②の順番で症状が出てくることもあれば、①だけ、②だけの症状で終わることもあります。

重篤な症状とは?

全般発作(全身のけいれん発作)の症状は通常2〜3分ほどで落ち着きます。一般的に1回のてんかん発作で動物が亡くなってしまうことはあまりありません。しかし、以下に示す2つの重篤な発作が出た場合には注意が必要ですのですぐに獣医師に伝えましょう。

群発発作・・・24時間以内に2回以上のてんかん発作が起こることです。

重積発作・・・1回の発作で30分以上のけいれんが続くてんかん発作です。
(※5分以上続くてんかん発作で、脳などへの後遺症のリスクが高まると言われています。そのため、1回の発作が5分以上続いた時には獣医師に相談しましょう)

てんかん発作が起こったら

てんかん発作は突然起こるため、目の当たりにしたご家族はとても驚いてしまうでしょう。あまりにも苦しそうに見える症状が数分も続いてしまうので、なんとかしないととパニックになられる方も多くいらっしゃいます。
しかし、てんかん発作中の動物には意識がないので、苦しいと言った感覚はありません。そのためご家族の皆様が冷静に見守ってあげることが大切です。

【発作中の動物にあまりしてはいけないこと❌】
だきしめたり、体を抑えたり、強くゆすったりといった行動はしないようにしましょう。

【発作が起こったらやるべき行動⭕️】
まずはけいれん中の動物の周囲は安全かどうかを確認しましょう。近くで頭などをぶつけてしまわないか、階段に近く落ちてしまわないかなどを確認します。
次に動物の様子を冷静に観察します。どのようなタイプの発作を起こしているか(動画がとれたら良い)、意識はあるか(声をかけ続け視線を確認する)、発作の時間はどれくらいの長さだったかなどを記録します。
また、発作が起こる前にどのような行動をしていたか、発作が終わった後の様子なども記録し、獣医師に伝えられるようにしましょう。

てんかんの検査法は?

上記の通り、てんかんには特発性てんかんと症候性てんかんの2つに大別されます。

けいれん発作がおこった動物に対して、まずは症候性てんかんの原因となる病気が存在していないかを検査していきます。具体的には身体検査、神経学的検査、血液検査や画像検査(レントゲン、超音波エコー検査)を行います。
これらの検査で原因が判明できない場合や、脳や脊髄などの神経系に問題があると考えられる場合にはMRI検査や脳脊髄液検査などを行います。

様々な検査を行った結果、特に何も異常が発見されなかった場合に、特発性てんかんと診断をつけます。

(※MRI検査を行うことができる施設は全国的に限られています。福井県にはMRI検査を行える動物病院はありませんので京都府や岐阜県などの動物病院で検査をしてもらう必要があります。)

てんかんの治療法は?

症候性てんかんの場合にはそれぞれの原因に応じて内科治療や外科治療を施します。

特発性てんかんの患者さんにはお薬の服用による内科治療がほとんどです。坑けいれん薬を1種類から、症状に合わせて数種類を組み合わせて毎日服用してもらいます。
ここで重要なのは特発性てんかんの治療は完治を目指すものではなく、その子の生活の質を向上させることということです。患者の状態や既往などで変わってきますが、てんかん発作の頻度が3ヶ月に1回以下にまで抑えることを目標にすることが多いです。

それに加えて重要なのが定期的な検診です。毎日お薬を飲み続けているので、何か副作用は出ていないかのチェックを行ったり、お薬が体の中でしっかりと吸収されているかを調べたり、少しずつお薬の量を減らすことはできないか検討したりする必要があります。

また、最近では特発性てんかんをもつ犬のための療法食が開発されています。
詳しくはコチラのページをご参照ください

まとめ

特発性てんかんは犬や猫で特に罹患する確率が高い病気です。それに加え、目に見えた発作というきつい症状が出ますので心配で心休まない飼い主様も多いのではないかと思います。まずは正しい検査を行い、その子がどのタイプのてんかん発作を起こしているのかを把握し、てんかんに対して正しい知識を持つことが重要であると考えます。

また、最近では犬の特発性てんかんのための療法食も開発されています。次回はその療法食に関して少しまとめていきたいと思います。