【獣医師解説】猫のウイルス感染症 その① 〜猫風邪って?〜

鼻水やくしゃみ、目ヤニなどの症状が現れる、いわゆる猫風邪の多くはヘルペスウイルスやカリシウイルスなどの感染が原因で起こります。特にヘルペスウイルスが感染した病態を猫伝染性鼻気管炎といいます。ワクチン接種で予防できる病気の1つですが、一度発症してしまうとなかなか良くならない子も多いこの病気についてまとめてみました。

猫伝染性鼻気管炎の原因

ヘルペスウイルス感染症の主な原因は2つ。【接触感染】と【免疫力低下】です。

【接触感染】…ヘルペスウイルスに感染している猫の唾液や鼻水から感染します。また、猫風邪の症状が表れていない猫でもウイルス感染を起こしている(キャリアの状態)可能性があるので注意が必要です。そのため、多頭飼育の場での集団感染が問題となっているケースもあります。

【免疫力低下】…ヘルペスウイルスに感染した猫は、猫風邪の症状が治ったとしても、体の中にヘルペスウイルスを保有し続けている(キャリアの状態)ことが多いです。その状態で、何かしらの原因で自己免疫力が落ちてしまった時に猫伝染性鼻気管炎が再発してしまいます。

免疫力が落ちる原因って?

猫の免疫力が低下する原因としては、主に【生活環境の悪化】と【病気・老化】が考えられます。

そのため、私たち獣医師は猫風邪様の症状を呈する患者が来院された際には、問診により生活環境の変化を伺ったり、どこかに病気が隠れていないか検査を行います。

猫伝染性鼻気管炎の治療は免疫力を上げること

猫のウイルス感染症に対して、ウイルスを直接退治し根絶する特効薬はありません。そのため、猫伝染性鼻気管炎では主に自己免疫力を高めてあげるような治療を施します。

インターフェロン注射での治療などがこれにあたります。また、生活環境を今すぐには改善できなかったり、老化が原因である場合など、免疫力が低下する原因が取り除けない場合は継続してサプリメントを飲んでもらうように指示をすることもしばしばです。

また、症状が強く出ている子の場合は対症療法が必要になります。

食事量が減っている場合は栄養補給や脱水補正の点滴など、細菌の二次感染が疑われる場合には抗生物質の投与、目の症状が出ている場合は目薬をさしてもらったりと、患者の症状により適切な治療を施します。

猫伝染性鼻気管炎の予防

年に1回のワクチン接種を行うことで予防することができます。

しかしヘルペスウイルス以外にも猫風邪の症状を引き起こす病原体は複数存在するため、油断は禁物です。免疫力が落ちないように日々の生活習慣を見直し、症状が出たらすぐに動物病院に相談しましょう。