【獣医師解説】犬の消化管寄生虫②〜各寄生虫について

今回は動物病院でも目にすることの多い消化管寄生虫についてそれぞれ解説します。

主に子犬で問題となりますが、ペットショップやブリーダーから引き取るなど環境の変化でストレスがかかると免疫力が低下し、発症することが多いためです。また子犬は体力も無いため重症化すると死に至ることもあるため、注意が必要です。

さらにほとんどが人にも感染するもの(人獣共通感染症)となっています。糞便の取り扱いには十分に注意をしてください。

犬回虫

虫卵を口から摂取することで感染する他に、母犬から仔犬へ胎盤や乳汁を介して感染(母子感染)します。

成犬では不顕性感染が多いですが、仔犬で大量寄生するとお腹が膨れたり下痢や嘔吐などで栄養不良となることがあります。

人獣共通感染症であり、まれに命に関わることもあるため抵抗力の弱い乳幼児や高齢者は注意が必要です。

犬鉤虫

経口感染、経皮感染、母子感染します。腸の粘膜に咬みつき、血液を吸って成長します。そのため寄生数が多いと貧血を起こすことがあります。

人獣共通感染症です。

瓜実条虫

ノミによって媒介される寄生虫です。肛門周囲に米粒のような片節が付着するため気付きやすいです。通常症状は軽度ですが、小型の犬では出血性腸炎を起こして斃死することもあります。

駆虫はもちろん、ノミの駆除が重要です。人獣共通感染症です。

コクシジウム

子犬で問題となることが多く、母犬の便から経口感染します。成犬では無症状のこともありますが、子犬ではひどい下痢を引き起こし成長不良となり、悪化すると命に関わります。1回内服することで駆虫できる薬がありますが、治療が長引くこともあります。しっかりご飯を食べさせるなどして免疫力をつけることが大切です。

またコクシジウムはほとんどの消毒薬に抵抗性があります。便が付着した部位は熱湯消毒を行いましょう。

ジアルジア

経口感染します。急性、慢性の下痢を引き起こします。糞便検査で検出されないことも多く、慢性の下痢が続く場合には遺伝子検査を行い検出されることもあります。また、最近では一般的な治療に抵抗性のあるジアルジアも報告されており、治りづらい場合もあります。

人獣共通感染症です。

トリコモナス

経口感染します。成犬では無症状ですが、子犬では粘液性や血様の下痢の原因になると言われています。しかし単独で下痢を引き起こすわけではなく、他の寄生虫や細菌と混合感染すると症状が現れると言われています。

人獣共通感染症です。

エキノコックス

日本では北海道のキタキツネが主な感染源ですが、2014年・2018年に愛知県で感染が報告され本州での感染拡大が問題となっているため解説します。人で重篤な症状を示すため、4類感染症(診察した獣医師、医師は地元の保健所を通じて7日以内に都道府県知事に届け出る義務があります)に指定されています。

犬は感染した野ネズミを食べて感染しますが、ほとんど病原性を示しません。

人はキツネや犬の糞便中に排出された虫卵を口から摂取することで感染します。10年ほどかけてゆっくりと肝臓で成長し、放置すると死に至ります。

愛犬を北海道へ連れていく際には十分に注意してください。

便に虫が出るとびっくりするので病院に来られることが多いですが、出ていなくても感染していることがあります。当院ではいつでも糞便検査をおこなっておりますし、ワクチン時に便を持参していただいた場合は無料で検査させていただいております。気になる方はご来院ください。